労働法の判例:「学歴詐称」と「時効」について

労働法の判例:「学歴詐称」と「時効」について

◆ 履歴書などに、やってもいない職歴や架空の学歴などを書いて、採用や条件を有利に運ぼうとすることを「経歴詐称」といいます。

 

経歴詐称は、代表的な懲戒事由の1つであり、かつ、詐称の態様によっては、懲戒処分の中でも最も重い懲戒解雇を下すことも有効と判断されます。

 

ただし、すべての詐称が懲戒解雇を導くわけではなく、経歴詐称が懲戒解雇の有効性を裏付ける法的根拠は、それが、採用の条件となるような重要な経歴の詐称であること、または、賃金その他の労働条件の体系を著しく乱し経営秩序への具体的な損害ないし侵害を及ぼすこと、です。

 

したがって、懲戒解雇が認められるか否かは、そのような点をポイントとして判断されることになります。

 

◆ そして、「重要な経歴の詐称」にあたるとされる主なものとしては、最終学歴や職歴や犯罪歴の詐称の3点が挙げられます。

 

最終学歴の詐称(学歴詐称)においては、判例は学歴を高く詐称する場合も低く詐称する場合も、労働力の評価、選択、位置づけに直接かかわる重大な経歴として判断し、当然に懲戒解雇事由にあたるとしています。

 

職歴詐称においては、裁判所は唯一または重要な部分を占める職歴詐称について厳しい判断をしています。

 

犯罪歴詐称においては、裁判所は期間満了後あるいは刑の執行後長期間経過している場合や少年時の非行歴を除いて、執行猶予期間経過後の刑罰については、採用面接にあたり申告すべき義務があるとしています。

 

◆ 経歴詐称(学歴詐称)と時効
たとえば、最終学歴を偽って入社し、20年以上経過したところでそのことが発覚した場合、会社がその人物を解雇することが認められるのでしょうか?

 

もしも20年以上経過していた場合は、民法724条の除斥期間が類推適用されて、使用者側から争えなくなると思われますが、20年未満だった場合には、問題は微妙になるようです。

 

つまり、すでに長期的に雇用関係が継続している場合には、民法1条2項の「信義則」を適用して、解雇を無効にすると言う判断も考えられるからです。つまり、学歴詐称していたことは悪いことだけれども、すでに20年以上も普通に仕事をしてきて、その仕事に関して会社も不満がなかったのであるから、いまさら解雇する理由はないではないか、というものです。

 

もっとも、これは裁判所(裁判官)が決める事ですが。

 

なお、民法第七百二十四条、「不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。」とあります。

 

したがって、「学歴詐称の時効は20年」、というのが一般的かつ原則的な考え方ではないでしょうか。いずれにしても、何年で時効!!・・・・・とスパッといかないところがあるようで、法律のこういうところを、管理人であるわたくしはけっこう好きです。

 

(「労働法・判例・学歴詐称・時効」の記事 終わり )